クソどうでもいい仕事(ブルシット・ジョブ)を続けるとどうなるか?

サイコロジー

人類学者のデヴィッド・ロルフ・グレーバーの著書『ブルシット・ジョブ――クソどうでもいい仕事の理論』が世界的なベストセラーとなり日本でも多くの人に読まれました。

作中ではブルシット・ジョブを「無意味で、不必要で有害な有償の雇用形態」と定義しています。そしてこれらの仕事を続けることで心が壊れるということも言っています。

この本で挙げられた仕事以外にも世の中にはブルシット・ジョブが多数存在します。そしてそれらの仕事を何年も続けることで心に悪影響が出ることは心理学的にも正しいと考えられます。

今回はこのようなクソどうでもいい仕事を続けることの危険性を冒頭の『ブルシット・ジョブ――クソどうでもいい仕事の理論』とは異なる側面から説明したいと思います。

ブルシット・ジョブと気づかせない工夫

ブルシット・ジョブ(クソどうでもいい仕事)はそれをしている本人もなんとなく気づいているものです。しかしそれを全面的に受け入れてしまうことは自分の存在を否定することです。

そこでどうするかというと自分を誤魔化すのです。ブラック企業などは朝礼で「社会に貢献する」などというビジョンを唱和させて社員に自分たちの仕事がクソどうでもいいものだと気づかせないような工夫をするとこともあります。

しかしそこで働いている人間はどこかで自分のやっていることは意味がないどころか社会に迷惑を掛けているということに気づきます。

若ければまともな職業に転職すれば良いのですが、危険なのは50代、60代まで気づかずにブルシット・ジョブを続けてしまったときです。

発達心理学とブルシット・ジョブ

発達心理学では人間は成長するごとに達成するべき課題があるとされています。

乳幼児期なら話したり歩けるようになること、青年期は他者との成熟した関係を築けるようになること、中年期は親の老化と向き合えるようになることなどです。

仕事を引退するような老年期になったら若年者を助けたり、成長を手助けしたり、社会的な義務を引き受けることが課題とされます。

これらの課題は誰かに教わるでもなく自然に達成しようと思えるものです。

これらの課題を達成することで成長できるだけでなく精神的な安定や幸福感を手に入れることができます。そして死を意識する年齢になり振り返ったときに良い人生だったなと思えるのです。

絶望しながら死を待つしかなくなる

しかしブルシット・ジョブのように世間に迷惑をかけるような仕事や人を騙すような仕事を長年してきた人間は課題を達成しようという気持ちが起こりません。

仮にそういった気持ちが起こったとしても過去の自分の行いを省みると社会的義務を引き受けたとしても後ろめたい気持ちがあるので達成した気になれません。

それどころか「自分の人生はなんだったんだろう?」という疑問が生じ、やがて絶望へとつながることさえあります。

仕事を引退する老年期というのは過去を悔やみながら生きるには残された時間が長すぎます。しかし人生をやり直すには残り時間が短すぎるのです。

そのためブルシット・ジョブを続けながら年を取った人は絶望しながら死を待つしかなくなってしまうのです。

ブラック企業の経営者や占い師が晩年に精神がボロボロになってしまうことがある理由の一つはこういったことです。ある日、突然にブルシット・ジョブの虚しさに気づくのです。

「死ぬまで自分を騙し続ける自信があるか?」

もちろん「自分のやってきたことは間違っていなかった」と死ぬまで自分を騙せる人もいます。そういう人はある意味で幸せな人です。しかしそういう人は例外です。一部のサイコパスかよほど外部の情報を入手しなかった人でしょう。

自分を騙しながら詐欺や迷惑行為を行ってきたほとんどの人が死ぬまでのどこかの時期で絶望するのです。

今あなたがブルシット・ジョブをしているのなら「死ぬまで自分を騙し続ける自信があるか?」ということを自分に問いかけたほうが良いです。

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