業績向上のために社内競争をさせるべきか?

組織論・人事

業績を向上させるために社員同士を競わせようと考える経営者もいます。しかし本当に効果があるのでしょうか?

個人間の競争がどのような結果につながるかという研究は多くの分野で行われています。

心理学の研究では競争がパフォーマンスを落とすという結果のものが多く、マネジメント分野の研究では競争がパフォーマンスを上げるという結果のものが多い気がします。
(臨床心理士は「人と比べるな」と言いますし、経営者は「ライバルに勝て」と言うことからも業界ごとの感覚の違いが出ているのかもしれません)

このように競争についての研究は結果がバラバラなのですが、ノースウェスタン大学のクリストファー・トウ博士らがそれらの研究をまとめて分析しました。

競争をどう捉えるかでパフォーマンスは変わる

複数の研究を分析して分かったことは競争によってパフォーマンスが上がるかどうかは個人の捉え方によって変わるということでした。

競争を挑戦と捉える人はパフォーマンスが上がり、脅威と捉える人は下がるのです。

この捉え方の違いを生み出すものは何かということも分かっています。

まずはストレスに対する個人差です。ストレスの掛かる状況になったときに成長のチャンスと考えられる人は競争に対しても挑戦と捉えることができるのです。

他には自己効力感、もともとの競争力、達成欲求が高い人は競争によってパフォーマンスが上がります。

これらの特性を強く持つ人は知覚された競争環境が高くなればなるほどにパフォーマンスが上がるということも分かっています。

脅威と捉えると内発的動機づけも下がる

競争を脅威と捉えてしまう人はパフォーマンスが下がるだけではありません。
非倫理的な行動や攻撃的な行動を取ることがあります。また競争相手となる同僚に対する好感度も下げてしまいます。

競争を脅威と捉えることは内発的動機づけ(内面から沸き起こる本質的な動機づけ)の低下にもつながります。
内発的動機づけは仕事の満足感や組織へのコミットメント、幸福度とも関係しますからマイナスの影響が非常に大きいといえます。

競争が内発的動機づけに与える悪影響は女性ほど大きくなるとされています。女性は競争を意識させられるとパフォーマンスが落ちるという研究結果もあります。

男女ともに共通することとして不確実性や意外性の高い環境、能力の高い相手との競争は脅威と捉えやすいことも分かっています。

競争させないほうが業績は向上する

ここまでの説明では競争が業績向上につながるかどうかは判断できないと思います。競争を挑戦と捉える社員が多いか少ないかによって会社ごとに取るべき戦略が変わるからです。

しかし私の個人的な意見としてはほとんどの会社では社員に競争をさせないほうが業績は向上すると思います。

なぜなら競争を挑戦と捉える人間は少ないからです。最初こそ挑戦と捉えることができたとしてもずっと競争が続けば疲弊してしまいます。

それに競争環境が高くなるほどに燃えるような競争好きな人間は年俸制の会社に行くか起業しているはずです。

下手に競争させると業績が上がらないどころか社内の空気がギスギスしてしまうかもしれません。

参考文献
Christopher To, Gavin J. Kilduff, & Blythe L. Rosikiewicz. 2020. When Interpersonal Competition Helps and When It Harms: An Integration via Challenge and Threat.
Günther Christina, Ekinci Neslihan Arslan, et al. 2010. Women can’t jump?-an experiment on competitive attitudes and stereotype threat.

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