『Nature Communications』に掲載された英国研究によると少量の飲酒であっても脳に重大な悪影響を及ぼすことが分かりました。萎縮とネットワークの変化をもたらすのです。
この研究は2006年から35,000人以上を対象に行われている大規模なものです。
これによると1日に1缶のビールやグラス1杯のワイン程度の飲酒習慣であっても脳の灰白質の体積の減少、白質微細構造のネットワークの変化を発生させることが分かりました。
また人間の認知や理性を司る前頭葉にも悪影響を与えることが分かっています。
大量飲酒が脳を破壊することは一般に知れ渡っていますが、適量のアルコールは健康に良いという誤った情報はいまだに信じている人が多くいます。
過去のサンプル数の少ない小規模な研究においては少量のアルコールが心臓などに好影響を与えるという結果になったものがあったことが原因かもしれません。
しかしその後に行われた再実験によりアルコールが健康に良いという結果はことごとく否定されています。
それでも「酒は百薬の長」などと言っている人がいるのは酒造メーカーのマーケティングがうまくいっている証拠かもしれません。
<論文>Remi Daviet, Gökhan Aydogan, Kanchana Jagannathan, (2022). Associations between alcohol consumption and gray and white matter volumes in the UK Biobank.