経営戦略とオペレーションの失敗が経営不振を招く

経営戦略

既存事業の改善と新規事業の投資という両利きの経営を実践していそうな企業が経営不振に陥ることがあります。

なぜこのようなことが起こるのでしょうか?

経営戦略とオペレーションの問題

ハルト・インターナショナル・ビジネススクールのフェリックス・バーバーたちが経営不振に陥った欧米の45の企業を分析しています。

それによると企業が経営不振に陥る原因として最も多いのは経営戦略の失敗でした。

多くの企業が市場の低成長、ビジネスモデルの寿命、熾烈な破壊的競争に直面し成長が止まります。

その状況を打開するための経営戦略として不必要にリスクの高い投資や多角化、買収に手を出します。しかしそれらの戦略が奏功することはなく売上高と株価は低迷するのです。

またイノベーションやリポジショニングの失敗も経営不振の原因となりやすいことが分かりました。

戦略上の失敗以外ではオペレーションの失敗が挙げられます。具体的にはコンプライアンス体制の基盤が脆弱であったり財務リスクの管理が出来ていないことなどです。
コンプライアンス体制の問題により業績が悪化する例としては金融機関の監督不行き届きによりトレーダーが違法な取引や規定以上のリスクを取り損失をもたらすことなどがあります。

経営トップの認識と企業の能力のズレ

なぜこのような戦略上および業務上の失敗が発生するのでしょうか?

一言でいえばトップの判断ミスですが、それを引き起こす要因として経営トップの認識と企業の能力のズレが挙げられます。

経営不振に陥る企業のトップの多くは自らが採用した戦略に見合う能力が社内にはないということに気づかないのです。

そのためリスクの高い野心的な戦略を採用してしまいます。

さらに株主などのステークホルダーからの成長やイノベーションを期待する圧力もこれに拍車をかけます。

当然ですが経営トップに経営上の課題に対処する能力がなかったという根本的な問題も大きな要因です。

自社の能力を客観的に把握することが肝要

経営のつまずきを予防するためには何ができるでしょうか?

まずは戦略と能力を一致させることです。経営陣と企業の能力に合った成長戦略を合わせる必要があります。トップが企業の能力を正しく認識できていない場合には周囲がそれを補正しなければなりません。

能力が足りない場合にはトップの交代も必要ですが難しい場合にはその能力を持った人間を役員にスカウトすることで補うことができます。

そしてもう一つ大切なことは意思決定バイアスに対処することです。

分析では戦略の決定において「成長へのバイアス」と「コンプライアンスや財務リスクを軽視するバイアス」が存在することが分かりました。

これらのバイアスがあるとリスクを軽視した戦略を採用する可能性が高くなります。
バイアスの影響を減らすためには今まで上手くいった事例は正しい経営戦略のおかげだったのか単に運が良かっただけなのかを分析する必要があります。

投資を実行する前の検証やアウトソーシング先の監視まで徹底することなどがありますが、まずは自社の能力を客観的に把握することが肝要です。

参考文献:Felix Barber, Jo Whitehead, Julia Bistrova. 2019. Why Giants Stumble.

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